0020/03/13

SIDS



先日学校の友人のお子さんが亡くなった。生後3ヶ月だった。死因はSIDS(新生児突然死症候群)だったそうだ。死因といってもSIDS自体が原因不明の突然死という位置づけなので、結局のところ原因は不明だ。同様にして毎年多くの新生児・乳児が亡くなっている。(SIDSは日本においても1歳未満の死因で3位以内に入る)

以前病院にて勤務していた際にもSIDSの症例に立ち会ったことがある。まさに「突然」呼吸や循環が止まるらしい。病院に着いたときには正直なところ手の施しようがない状態だった。

この症候群は1歳未満の新生児・乳児の突然死において死因が特定されないものの総称として用いられる。結局のところ死因は不明となる。子供が亡くなったが原因がわからない、という状況におかれご両親は感情の行き場所を失ってしまう。子供がなくなったという事実だけで十分つらいのに、何がその原因かわからないという状況におかれる。・・・・子供が亡くなるというイベントはとてもつらいものだが、その中でも僕の立ち会ったSIDSによる子供の死がご両親に与えた心のダメージは大きかったように思えた。


SIDSのリスクを上げるのではないかといわれているもので有名なのが「うつぶせ寝」「親の喫煙」そして「人工乳」だ。すべてが明確な理由になりうるとは証明されてはいないが、SIDSのリスクを上げる因子の可能性があると複数の論文でも言われている。それらは親がSIDSの存在やその危険因子をしっかりと知らされていればコントロールがある程度可能なものである。だからこそご両親に対する教育も非常に大切になるのだろう。実際にヨーロッパでは以前SIDSの知識普及キャンペーンが行われたらしく、その結果SIDSの発生率が減ったそうだ。


そんな話をしたところで友人の子供が帰ってくるわけではないが、少しでもSIDSのことを知ってもらい一人でも多くの子供がその危険にさらされるのを避けられるとするならば、その子の3ヶ月という短い生涯にも大きな意味を見出すことができるのかもしれない。

今はただ冥福を祈るばかりです。

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