0020/02/02

ロンドンフィル



先ほどロンドンフィルのコンサート鑑賞から帰宅。

今日の演目は
Mark-Anthony Turnage: Lullaby for Hans
Hans Werner Henze: Seconda Sonata per Archi
Johannes Brahms: Violin Concerto in D
Peter Ilyich Tchaikovsky: Symphony No.6 (Pathetique)
最初の2曲はイギリスじゃないとなかなか聞かない演目。ブラームスのバイオリン協奏曲はむかし日本でどこかのオケがやっていたのを聴きに行ったことがある。そして悲愴は何度行ったかわからないほど聴きに行っているし、お気に入りの曲の一つ。何百回も聴いているこの曲を聴くことでロンドンフィルのよさ悪さを判断できそう。


そして今日の感想は「いろんな意味ですごかった」。


まず指揮者。
今日はロンドンフィルの常任指揮者であるウラディーミル・ユロフスキが指揮。
彼の指揮は一言で「セクシー」。
指の先まで動きが滑らかで切れがある。ここまで動きがきれいな指揮者はみたことが無かった。同じロシア出身のゲルギエフとはまたタイプが違うすばらしい指揮者。チャイ6を指揮したときにはいい意味で「ロシアっぽいな」という感じはしたが、それ以外の演目ではかなり「芸術性」を重視しているように思えた。きれいな音楽を表現している。魂タイプのゲルギエフと美追求型のユロフスキーという印象。
とにもかくにもユロフスキーのセクシー度合いの少しでも見習いたいと思わざるを得ないでした。これからもっともっと大物となっていくことは間違いないでしょうね。

バイオリンのソリストはクリスティアン・テツラフ。彼はおそらく今回の演目のブラームスVコンみたいな激しいタイプの音楽よりも滑らかで情緒のあるタイプの音楽の方が合っているような気がしました。バッハの無伴奏なんかの方がいいんじゃないでしょうか。
今回は力が入りすぎたのかVコンの3楽章の入りでいきなり弓のHairを思いっきり切断。あわてて裏の楽屋まで予備の弓を取りに行くというハプニング付でした。

そしてロンドンフィル。
悲愴は木管楽器、金管楽器のよしあしが全体の出来を決めることが多いがこれが本当にすばらしかった。木管は最初の方のフルートがかな~~り怪しかったが、その後は持ち直して素敵な音色を奏でていた。ファゴットとクラリネットは秀逸。
それにも増して金管楽器には驚かされた。こんなに繊細な金管の演奏があっていいのだろうか?と思わず聞きたくなるくらいのすばらしい演奏。音の一つ一つ丁寧にかつ指揮者の滑らかな指揮に負けないくらいのスムーズな音出し。今まで聴いてきた金管で間違いなくNo.1!
弦楽器やパーカッションに関しては期待していたとおりのすばらしい出来だったので新たな発見という感じではなかったが、とにかく金管のすばらしさに涙が出そうなくらい感動。


ここまではよかったのだが、観客が本当に3流以下だった。いろんな都市(日本に限らず)で学生オケも含めていろいろ鑑賞してきましたが、ここまで質の悪い客は初めてだった。

1.悲愴第4楽章の終わりかけ、音がだんだんフェイドしていくときに携帯の音を鳴らす奴がいた。これは本当に最悪。7回近く鳴らし続けるという「暴挙」でした。小説を読んでいる人にその結末を先に教えてしまうことよりも最悪。「この静寂に至るシーンを聴くために」来ている人もいるくらいの大事な場面での出来事でした。

2.悲愴が終わりカーテンコール中にぞろぞろと席を立って帰る奴らが続出。それも若い人ではなくある程度年齢の行っている人たち。信じられない・・・これはマナー違反じゃない??演奏者に本当に失礼。金管をはじめとして本当にすばらしい演奏を聞かせてくれたオケに対してその仕打ち?これには本当にびっくりしました。

3.拍手タイミングのミス2度も。ブラームスVコンの第一楽章が終わるといきなり結構な拍手。おいおい、そのタイミング??この人たちひょっとしてこれでブラームス終わりだと思った?たしかにあまりの熱演に対して特別に楽章の間で拍手が起こることはまれにありますが、そこまでのものではなかったはず。当の指揮者が拍手が起こったことに驚いていましたから・・・。まあ、すばらしいと思った人が多かったんだろうと心の中で処理したのですが、その後チャイ6の第3楽章が終わったあとにまたもや。たしかに悲愴の第3楽章は盛り上がり方、そして最後の決め方がほかの交響曲で言うところの第4楽章っぽいところはある。それは認めるが・・・。でも2度目はいかん!それに悲愴はメジャー中のメジャーでっせ?せめていくつの楽章があるのかくらいパンフレットにも書いてあるんだから先に読んでおいてくれ~。
客の質が悪い事を見抜いていたであろうユロフスキが今度はそんな拍手にはまったく動揺せず3楽章と4楽章の間をあまり取らずスムーズに移行。えっまだあるの?って感じで拍手がぱらぱらと無くなっていった。ありえねぇ~


クラシックの鑑賞は一般で思われているほど堅苦しいものではない。ただ、最低限守っておかないといけないルールは知っておくべきだろう。クラシック音楽が盛んなヨーロッパのロンドンでまさかそんな基本的なことができない客が大量にいるとはびっくりさせられた。



話は戻って、ロンドンフィルは間違いなく一流のオケで指揮者も今後世界のクラシック音楽界を引っ張っていくような存在になる可能性を秘めている。もしロンドンに住んでいる、また行く機会があったら時間を作ってぜひロンドンフィルのすばらしい音楽を楽しんでみてください。

来週は久々にRoyal Opera HouseでLa traviataを鑑賞してきます。たのしみ。

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